設立の経過・趣旨

 財団法人食品科学振興財団は、山崎製パン株式会社創業者飯島藤十郎社主が主たる基本財産を出捐し、山崎製パン株式会社との共同で設立され、1984年(昭和59年)7月31日農林水産大臣の許可を得て発足しました。
 飯島藤十郎社主は、「企業経営を通じて社会の進展と文化の向上に寄与することを使命とする」ことを経営基本方針に掲げ、企業経営の傍ら、予てより社会貢献を実践すべく構想を抱いておりましたが、この構想が同社創業35周年の記念の年を機に、社主を父とする飯島延浩社長により実現されたものです。
 国民の食品に対するニーズは、多様化・質の高級化などとともに健康・安全志向にも向けられるなど変化が著しい中、わが国の食品産業は、きびしい国際競争のなかで、製品の多角化や技術開発等に力を注ぎ、国民の健康と新しいライフスタイルに適合した食品を提供することにより、豊かで安定した食生活の向上に貢献していくことが求められています。こうした状況に対応するためには、基礎的、専門的な食品科学の総合研究の充実強化はまことに重要ですが、この分野への取組は未だ日が浅く、産学含めて極めて不十分といわざるを得ない状況にありました。当財団の設立者はここに着目し、農林水産省の指導・アドバイスを得て、食品科学及び食品と健康、食品の加工ならびに食品の流通に関する研究を対象とする助成事業の推進により、食品科学の振興を通じ、いささかなりともわが国の食品産業の発展と食生活の向上に寄与したいと願い、当財団の設立に至ったものです。
 設立同年より、助成事業を開始し、以後米麦等主要食糧に関する食品科学分野の学術研究助成を中心とした事業活動を毎年着実に展開して参りました。助成開始以来39年を経過した2022年度までに助成等の総件数は2,800件を越え、総助成金額等は51億9,600万円に達しております。
 こうした実績をふまえつつ、当財団は1990年6月に財団法人飯島記念食品科学振興財団に名称変更し、さらに2013年4月1日に公益財団法人への移行を機に事業内容を一部拡充するとともに、その名称を財団創設者の名を冠した「公益財団法人飯島藤十郎記念食品科学振興財団」に改称させていただきました。